週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

「高収入こそ破産のリスクあり」なわけねーだろって話

こんにちは、自称高収入の北斗龍之介です。
年末のボーナス時期って年収関連のニュースがよくアップされるのですが、またこんな記事がエントリーされていましたね。

toyokeizai.net

上記は東洋経済オンライン掲載の記事だけど、こういう「高収入なのに、いや高収入だからこそ破産する!」というノリは経済系のメディアはよく特集していて、特にプレジデント社の記事に多いですね。

読み手に対して「えっ、なんで年収が高いのに破産しちゃうのだろう?」と疑問を抱かせて関心をひこうとする狙いです。

試しにネット検索で「プレジデント 年収 破産」という3つのワードで検索すると、出てくる、出てくる(笑)。

高学歴高年収の最強共働き夫婦がなぜか危なかったり、

president.jp

年収800万円の主婦が1番破綻予備軍になりやすいという話だったり、

president.jp

さらには年収1100万なのに「いつも自己破産」してしまうとか。もうアホかと(笑)

president.jp

プレジデント編集部にとっても同じような記事を作るのってクリエイティブな作業ではないはずですが、でもこういう記事はPVが稼げるから、手をかえ品をかえ、似たような記事を乱造するのでしょう。

無駄遣いが借金を招くのは事実だが

これらの記事で共通して展開されるストーリーは以下です。

1.高収入は年収が高いといくらでもお金があると錯覚してしまう

2.派手な私生活によって、支出が収入を大きく上回ってしまう

3.結果、気づくと家計が破綻してしまう

さらにこういう記事は、「年収300万円以下の世帯の方が、危機感があるので、無駄遣いしない。そのため経済的に安定している」なんてことまで言いだします。

この手の記事に共通するのは、統計結果のような客観的なデータの引用は皆無で、著者であるフィナンシャルプランナーだかなんだかの印象や体感レベルに過ぎない内容であることです。

おそらく高収入で破産した人がクライアントが少数ですが存在し、その意外性からフィナンシャルプランナーは強い印象を受けたのでしょう。「この人、高収入なのに破産しちゃった」なんて。

これは対象の目立ちやすい特徴に引きずられる「認知バイアス」というものですね。

f:id:hokuryuno:20171228141530j:plain

本当に破産しやすいのは……

そもそも家計が破綻するのは支出が収入を上回り、借金が返済できなくなった状態を指します。

そのためぎりぎりの収入で生活している家庭の方が、当然破産はしやすいです。稼ぎ柱の父親が病気で倒れたら、とたんに収入は途絶えてしまいます。

もし貯金もなければ、すぐに公共料金の支払いができなくなり、次第に水道や電気も止められてしまいます。

もちろん高収入の自営業者が、事業に失敗していきなり破産することもあるでしょうけど、比率でいえば破産するのは圧倒的に低所得の人が多いのが事実です。

日本弁護士連合会が「2014年破産事件及び 個人再生事件記録調査」というのを発表していて、下記のような統計を出しています。

f:id:hokuryuno:20171228141137j:plain

この表を見る限り、破産債務者が多重債務に陥った原因は、「生活苦・低所得」が60.24%と断トツのトップです。

当たり前ですが、やはり高所得より低所得の人の方が破産しやすいのです。

東洋経済はPV乞食なのか

ではなぜ東洋経済オンラインやプレジデント社が「高年収は破産のリスクがある!」とウソをついてまで煽るのでしょうか。

私も経済系のWebサイトを自分が中心となって運営していた時期があるので、少しでもPV(ページビュー)を稼ぎたい気持ちがわかります。サイト運営には人件費や執筆量などの経費がかかり、広告費などの収入を稼ぐ必要がありますから。

しかし読者をバカだと決めつけて、意外性だけを狙ってPV狙いの記事を書くと、回りまわってそのWebサイトの価値は低下していきます。

そのうち、こうしたタイトルや内容の記事から受ける刺激も低減していき、いつかは中身のないウソつきな記事だけが、Webの世界の片隅にゴミクズとして残っていくのです。

価値が低下したサイトにはやがて人が訪れなくなり、Webサイトはクローズする運命が待ち受けています。

東洋経済はエロ記事でPVを稼ぐ、PV至上主義なのか

ところで「高収入なのに、いや高収入だからこそ破産する!」というノリの記事って、本来プレジデント社の十八番(おはこ)なんですが、今回は東洋経済でした。

少し前まで東洋経済は経済系出版社の中でも、プレジデント社やダイヤモンド社とは違って、格式高いというか堅い感じがあったのですが、「東洋経済オンライン」を始めてからは、下世話ま貧困やエロ(風俗嬢の財布事情など)の性格が強い記事を連発しています。

私もいち読者として、また出版業界に長くいる立場として、「あの東洋経済も変わってきてしまったねぇ」と残念に思う気持ちがあります。

これがプレジデント社なら「またやっているよ」という程度なのですが、東洋経済は経済系の良書も多いので、こういう軽いノリの記事を連発していくっていうのは、社内でもいろいろな意見が出ているでしょうね。

実際にちょっと前に「東洋経済オンライン」を巡っては、週刊文春と東洋経済で

週刊文春「エロ記事でPVを稼ぐ、PV至上主義だ」
東洋経済「うちの記事は下ネタ中心ではない」

というプロレスを演じていました。

www.kotsulog.com

上記エントリーは東洋経済の社員からの内部告発が主体となっています。同社の社内でもサイト運営のスタンスに相当不満が出ていることが伺えます。

これはこれで外野としては面白かったですが。しかしこの騒動はその後どうなったのか。一瞬の盛り上がりは見せたのですが、時間が経ったいま、誰も興味なくなって風化してしまった感があります。

うーん。ではでは。