投資としての太陽光発電
我が家では、太陽光発電を3年前の2014年末に設置しました。現在は問題なく稼働しています。
太陽光発電には「環境保護」や「子どもにとって科学的な学習体験になる」などの一面もありますが、導入する際にはこうしたきれいごとはいったん排除して、純粋に投資としてメリットがあるか、また経済合理性があるかを基準にまずは検討しました。
検討の結果、太陽光発電を導入しましたが、3年間経過した現在後悔はしていません。投資として成果を評価するにはまだ時間が必要ですが、条件さえ満たせば、投資としてリターンもあるので、皆さんの家庭でも経済性を考慮して設置した方が良いと考えています。
「条件を満たせば」の“条件”というのは下記になります。
2. ソーラーパネル、パワーコンディショナーのメーカー保証が10年以上あるか
誰でもそうだと思いますが、私も経済的に損失を被りたくないので、検討段階で太陽光発電に関する書籍を3冊読んだうえで、業者も3社に見積りをとって、収益シミュレーションやソーラーパネルの保証などの条件を入念に確認しました。
その結果、上記2点をクリアしていれば、「少なくとも損失が発生する可能性は低い」という結論になりました。
それどころか、11年目以降の買取価格(11円/kWh程度と予測されている)や機器のメンテナンスの状況にもよるけれど、順調に推移すれば、設置から30年間で150万円程度の粗利益が得られると予想できました。
10年以内に導入コストを回収できるかがカギ
2つの条件について私の考え方を簡潔に説明します。
まず「1. 買取保証のある10年以内に導入コストを回収できるか」という条件ですが、これは最重要ポイントで、少なくともシミュレーションの段階では必ずクリアしておく必要があります。
ここで言うシミュレーションとは、自宅に太陽光発電システムを設置した場合に、「年間でどの程度の発電量を期待できるか」というもので、営業の一環で太陽光発電の業者が無料で資料を作成してくれます。
シミュレーションは住んでいる地域や、自宅や隣家の立地状態、屋根の形、ソーラーパネルの設置可能枚数、ソーラーパネルの種類等から発電量を算出するというもので、私の自宅の場合、4.2kWでした。
発電量の予測が立つと、太陽光発電を自家消費する分と余剰電量の買取料金が計算できます。
「自家消費する分」とは、自宅で生みだした太陽光発電を、自宅の電気として使用する分です。本来であれば電気代として発生する部分を節約できます。
この自家消費による節約金額と、買取料金(余剰に生み出した電力を電気会社に買ってもらう分)を合計して年間あたりどの程度の収益が発生するのが計算します。
もしこの年間収益の10年分が、導入コストよりも大きい金額になれば、「導入コストを10年以内に回収できる」ことになります。
導入コストは、ソーラーパネル、パワーコンディショナーなどの機器や、工事費をすべて含めたものから、地方自治体による補助金を差し引いた金額になります。
太陽光発電の導入時にはディスカウント交渉を
導入コストは低ければ低いほど、回収が早くなります。そのためシミュレーション結果で10年以内で回収できそうだと分かっても、それで満足せず、業者へディスカウント(割引)を交渉しましょう。
我が家は、比較した3社からそれぞれ見積もりをとり、業者間で価格面でも競ってもらいました。そして最終的に提示価格の230万円から190万円と、40万円の値引きを提示した業者に決定しました(補助金も値引きに含む)。
これにより、回収時期が18か月も短縮され、設置後9年目での回収がシミュレーション上で可能になりました。
また導入コストにかかる初期費用(190万円)は、ローンを組むのではなく一括払いを選択しました。ローンにすると金利分だけ導入コストが膨らんでしまうからです。
投資を回収することを第一に考えると、金利なんて絶対に払わない方が良いです。ただし太陽光発電の導入コストをそのまま新築時に住宅ローンに組み込める人は、住宅ローン控除を受けられることになるので、ローンも選択肢に入ってくると思います。
私の場合は、すでに購入していた自宅に、新たに太陽光発電の設置を決めたので、一括払いを選択しました。
10年以上の保証があるかどうかチェック
導入するうえで、もう1つ必ずクリアすべきなのが、「2. ソーラーパネル、パワーコンディショナーのメーカー保証が10年以上あるかどうか」という点です。
インターネットでは、下記のように太陽光発電パネルが損傷する事例も報告されています。
業者の説明では「太陽光発電は、台風のような強風でも故障しないように設計されている」ということですが、実際に壊れている例もこのようにあるので、鵜呑みにするわけにはいきません。
そのためソーラーパネルの保証期間は重要になります。とはいっても、ソーラーパネルのメーカー保証期間はたいてい20年~25年とかなり長期に設定されているのでここはクリアできるでしょう。我が家も20年の保証がついています。
一方で、ソーラーパネルの他にもパワーコンディショナー(パワコン)という機器があります(下記写真)。パワコンは、太陽光発電システムで発電された電気を家庭で利用できるように変換する機器です。
一般的にソーラーパネルは20~30年故障がないと言われていますが、パワコンは10年~15年で故障するようです。
私は太陽光発電システムを導入コストを買取価格が固定である10年以内に回収することを目標に据えていたので、それまでにパワコンが壊れては困ります。そのためパワコンについては15年保証のメーカー(東芝)を選びました。
パワコンのメーカー保証は通常5年~15年に設定されていますが、ここは10年以上にこだわった方が良いでしょう。もしパワコンが故障すると部品の交換で10万円、新品と交換すると20万円~30万円ほどかかってしまいます。
最後は「エイヤッ」で投資
以上が太陽光発電を設定するにあたっての検討事項になります。
我が家の場合、年間の発電量はシミュレーションと概ね同水準で発電しており、自家消費と売電によって、今のところ順調に回収中です。
ただし、私の周りの友人や知人で太陽光発電を設置している家庭はそう多くありません。10人に1人いるかどうかといったレベルですかね。
実際に民間の調査会社が2015年4月に1万人以上にアンケートした結果でも、太陽光発電システム設置率は7.3%だったということなので、私の体感と一致はしています。
世間での太陽光発電のイメージは、けっこうネガティブなものもあります。
2000年代に入って、国による新エネルギーに対する政策支援が後押しとなり、太陽光発電事業への異業種参入や起業が活発になりました。
しかし一部の企業が一般家庭へ押し売りや過剰な営業を行った結果、インターネットでも「太陽光発電は詐欺だ」「利益なんて出ないに決まっている」といった否定的なコメントをよく見かけるようになりました。
そのため普及が急速には進んでいないようです。
ただし、自宅に太陽光発電を導入する際の相場は、100万円~200万円程度なので、軽自動車やコンパクトカー程度の価格です。
そう考えると、自宅の購入にすでに数千万円を投下している人であれば、太陽光発電のリスクはそれほど大きいとは感じないはずです。
私の場合、不測の事態が生じて、最悪導入コストを回収できない状況に陥っても、個人の資産運用や老後の生活には影響しないレベルと判断して、最後は「エイヤッ」で投資しました。
投資の世界ではプロでも最後迷った時は、直感に頼ると言いますが、私も200万円ぐらいならたとえ損を被ることになっても、他の投資で取り戻せばいいやと考えて、導入を決意しました。
十分と思えるぐらい検討したら、あとはやるかやらないか。リスクを負わないとリターンも得られません。太陽光発電の導入を検討している方はぜひ参考にしていただければ嬉しいです。