メルカリで現金出品が問題に
「ガイアの夜明け」(2017年10月10日)で衣類など個人間取引のフリマアプリである「メルカリ」に密着していました。
このアプリは、ユーザーフレンドリーを追求し、画面操作や出品までの手順を徹底的に使いやすくして、日本国内だけで5,000万ダウンロードされるほど普及しています。
また匿名配送を利用すれば、出品者と購入者で個人情報のやり取りが発生しないのも良いですね。
ヤフーオークションでは個人情報をさらしながら、出品者と購入者でけっこうトラブルになっていますから。
ただこうしたサービスの使いやすいさと個人情報が漏れないという特徴があることで、メルカリでは現金出品が横行し、問題になっていることも、ガイアの夜明けでは放送されていました。
現金出品の取引の流れの一例としては、以下のようなものです。
2. 購入者はクレジットカード払いで30,000円の現金を36,000円で購入
3. 購入者は当座をしのぐための現金30,000円を確保。翌月クレジットカードで36,000円の支払う
メルカリでは2017年4月から紙幣をフリマアプリで出品する行為を禁止しています。そのため見つけ次第削除されます。
しかし、事態はいたちごっことなっており、ただの石を60,000円で販売して50,000円でキャッシュバックしたり、1万円札を折り紙のように折って「魚のオブジェ」として販売したり、さらにはチャージ付きのSuicaを販売するなど、販売側とメルカリ運営側でこのところ攻防が続いているのです。
メルカリで現金を購入する人ってどんな人?
このいたちごっこは、観察しているだけなら面白かったりするのですが、メルカリで現金をクレジットカードで購入する人ってどんな人なのかを想像すると笑えないです。
クレジットカードは、ショッピング利用の他に、現金を借りられる「キャッシング」という機能がありますが、メルカリで現金を購入する人は、当然すでにこのキャッシング枠を使い切った人になります。
かなりカツカツの人ですね。
出品者もそれが分かっているので、利息にあたる部分を法定金利の上限ぎりぎりまで上げて設定しています。それでも利用する(現金を買う)人がいるからです。
現金30,000円を36,000円で購入すると、利息でいうと20%にあたります。利息制限法では法定金利の上限として年20%に設定していますから、この上限とほぼ同等です。
いや、クレジットカードの支払いは翌月には請求されるので、期間を考えると法定金利の上限を超えているといえます。
支払いが滞ると、損失を被るのはクレジットカード会社なので、カード会社としてはこのような取引は許すわけにはいきません。
しかし、実際に取引する出品者と購入者にリスクはありません。購入者はメルカリ(もっと言えばクレジットカード会社)を通して確実に売上を得ることができるので、支払いについてリスクを負いません。
また購入者も支払いを1か月以上先に延ばせながら、面倒な審査もなく現金を手に入れることができます。
だからこの現金出品という商いは形を変えながら、続いているのです。
世の中はお金がないとお金がかかる仕組みになっている
購入者は当面をしのぐ現金を手に入れられますが、経済的には負の連鎖の真っただ中にいます。私も学生時代はアホかというほどお金がない時期があったので気持ちがよくわかります。
ただし、法定金利の上限よりも不利な条件で現金を入手しており、いつまでも返せないとどこかで破産してしまいます。
世の中はお金がないことで、必要以上にお金がかかるという仕組みになっています。メルカリで現金を購入する人も、他に利息の低い条件で借りることができないので、法外な利息であってもお金を手に入れようとするのです。
しかしそのことでさらに返済額が大きくなってしまいます。
もしお金に余裕があれば、逆に自分のお金を貸したり、運用したりすることで、利息を得られる立場になれますが、この差はとても大きいです。
住宅ローンの審査ひとつとってみても、年収が高ければ高いほど金利が低くなり、年収が低ければ低いほど、金利が高くなります。なぜお金がない人が高い金利を負わなければならないのか、おかしいと思うかもしれませんが、お金のやり取りにおいては信用とリスクに基づいて金利が決定するので、しょうがないのです。
この世の中の仕組みをきちんと理解すると、お金があればあるほど、お金を増やせることに気づきます。
だからお金持ちは、良い条件での借金をバンバンします。自分のお金だけで運用するよりも、低金利で銀行からお金を借りて、その金利以上の利率で運用できればそれだけ儲けられますから。
1億円を利息0.5%で借りることができれば、1年後の利息の支払いは、50万円です。
そして借りたこの1億円を5%で運用できれば、1年後に500万円の利益をあげることができます。
すると年間の収支としては、
500万円-50万円=450万円
ということで、何もないところから、450万円のお金を生むことができるのです。
節約と勤勉で負の連鎖を断ち切る
お金を運用する手段を持てば、あとはどれだけ良い条件でお金を借りることができるかが焦点になります。
そのため販売する商品やサービスに自信がある自営業者やベンチャー企業は、どんどんお金を借りることで、急成長していけます。
これは個人も同様です。とにかく節約をして、休日返上で日雇いの仕事をするなどして何とかメルカリや消費者金融でお金を調達する状態から抜け出して、少しでもお金を貯めていく。ここはもう踏ん張るしかない。
そしてお金が貯まったら、今度は良い条件でお金を借りて、運用していく。そうすることでようやく負の連鎖を断ち切り、好循環のサイクルに乗ることができます。
一度好循環のサイクルに乗ったら、あとは運用をルーチン作業するだけでお金が増えていきます。いや偉そうに言っている私もまだまだなのですが、大事なのはいかにしてこのサイクルに乗るかということなんですね。