この本の著者である磯貝清明氏はマネー誌や週刊誌でちょくちょく取材されているのでご存知の人もいるかもしれませんね。
最近では、TBSテレビの『結婚したら人生劇変!〇〇の妻たち』に奥さんとともに出演していましたね。奥さんもけっこうしゃべれる人だったので、今後夫婦で別の番組にも呼ばれそうな気配があります。
番組の内容はほとんど下記記事に掲載されています。
いけいけどんどんで10億円を突破
「FXで10億円稼いだ」と聞くと、どんな天才かと思うでしょうけど、本書を読む限り、細かい投資戦略はないようでした。
とにかく相場が良かった2004年から2007年頃までの円安基調に乗って、高レバレッジでドルやポンドを買いまくった。その結果、為替差益とスワップ金利でぼろ儲けしたということです。
著者は怖いモノ知らずで、FXに集中投資を行い、2004年に1200万円の利益、2005年には1億円の利益を叩き出します。そしてとうとう2007年7月に10億円を突破します。
本文中に著者が「日本人の個人投資家でFXで10億円を突破したのは自分だけではないだろうか」と言っていますが、たしかにその通りかもしれません。
株式投資の世界では、cis氏やB・N・F氏などの個人投資家は10億円どころか、100億円以上の資産を築いていると推測されていますが、FX専業の個人投資家では10億円以上稼いだ話は他に聞いたことがありません。
世界金融危機で儲けがすべて吹き飛ぶ
私も同時期にFX取引をしていて、そこそこ儲けていたのですが、世界金融危機で儲けが吹き飛んじゃいました。そのあたりは下記エントリーに書いているので興味があればどうぞ。
著者も全く同じ状況で、FXで10億円を突破した2007年に、サブプライムローン問題を発端とした世界金融危機の影響をまともに食らってしまいました。
それまでずっと円安が続いていたのに、これを機に円高へ方向転換したのです。
特にポンドは、2007年に1ポンド=230円だったのが、1~2年の間に1ポンド=130円近くまで円高に振れてしまった。
これにより著者が稼いだ10億円もこの円高によって一気に吹き飛んでしまいます。そして不運(?)というのは重なるもので、お金がなくなった2009年に、税務署からFXで得た利益を脱税した罪で告発されてしまったのです。
その結果、1億6000万円超の負債を背負うことになります。お金がないのにこんな大金払えるわけがありません。泣き面に蜂とはこういう状態を指すのでしょうか。
さらにさらに延滞税として毎日5万円ずつ増えていくという地獄に陥ります。
すでに1億円以上の借金を返済済み
本書ではそのような絶望的な状況から再起を始めるところまで描かれています。1億6000万円超の負債を返済しようと決意するのです。
奥さんとはその後に出会ったようで本文中には登場しませんが、FXで稼いだお金で六本木ヒルズの住民となり、派手に遊んだ生活から、その後転落するまでの様子が、リアルに記載されており、読者はジェットコースター人生の疑似体験ができるのが本書の魅力でしょうか。
読みやすい文章なのでマンガのようにさくさく読めます。
その後、冒頭で紹介したTBSテレビの番組では、借金が3000万円弱にまで減少したと紹介されています。著者の本業の仕事はスクラップ事業の経営者です。このスクラップ事業の収益からも返済しているようですが、再度FX取引も行っており、FXの借りはFXで返すということで、日々トレードに勤しんでいるようです。
円高に振れても大丈夫かちょっと心配だが……
1億円以上の借金を返したのだから、「すごい」の一言ですが、ただちょっと私が気になったのは、アベノミクスによってここ3年程度、円安基調が続いていたことで、再び運よくFXで勝てたのかもしれないということです。
その場合、円高に振れたりするとまた利益が吹き飛ばないか心配ですね。円高でも円安でもどちらでも勝てれば良いですが、そんなの優秀なプロのトレーダーでもなかなかできない芸当ですから。
本書では以前とは異なり、現在はかなり堅実なトレード方法に切り替えていると書かれているので、リスクマネジメントがしっかりできているとしたら余計な心配ですが。
いずれにしろ、今後著者が借金を完済して、再び資産を築けるのか個人的にもウォッチしていきたいです。