週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

FXをこれから始める人が読んでおいて損のない話

株式投資、投資信託に続いてメジャーな金融商品といえば、FX(外国為替証拠金取引)だ。
FXに興味を持っている人も多いのではないだろうか。

私は過去に、仕事でFX関連の書籍制作やWebサイトでの記事配信に携わったことがあり、またプライベートではトータル10年ほどFXを取引してきた。
FXをこれから始めようと思っている人は、私の話を聞いてからトレードするかどうかを決めても遅くないと思う。

f:id:hokuryuno:20170711112832j:plain

FXは日本の投資家にもかなり浸透

少し前の話になるが、2016年9月に、金融庁の税制改正要望に絡んで、証券、FX、銀行およびプロバイダーの24社が個人投資家にアンケートを行った。

このアンケートで、取引している金融商品を尋ねたところ、FXは全体の9.5%だった。約1割の投資家がFX取引を現在取引している、と答えている。

f:id:hokuryuno:20170711112800p:plain

投資家の1割というと割合としては小さいが、株式投資(現物・信用)と投資信託に続き、3番目の商品と考えるとメジャーな金融商品だと捉えられる。

ネットの掲示板やQ&Aサイトでは、FX関連のスレッドで溢れており、活況を呈している。一方で金や原油は世界的にはメジャーな商品だが、上記のアンケートでは商品先物全体としても1%にも満たしていない

そう考えると日本の個人投資家に対してFXという金融商品はかなり浸透してきていると言えるだろう。FXの専用取引業者も、外為どっとコムや外為オンラインあたりが実績を積み重ねてきており、もはやベンチャー企業の域から脱している。また以前はFXを扱っていなかった証券会社もその多くがFXを取り扱うようになっている。

FXでは長年勝ち続けている投資家はいない?

ではFXを取引する人のなかで何割の人が儲けているのだろうか?
実はこの問いは意味を持たない。なぜかというと、今年は儲けていても来年は全くわからないからだ。相場が株式投資以上に読めないのがFXの世界なのだ。

下記エントリーで書いたように投資で勝つポイントの1つが再現性だ。
一時的に儲けが出ても意味がない。将来的に継続的に勝てなければ、資産は増えていかない。

www.kotsulog.com

そのため、2ちゃんねるの投資スレッドやはてブ界隈で、「FXで今月●万円儲けたよ」という報告がされるが、賞賛するのも嫉妬するのもバカらしい。

株式投資では長年勝ち続けている有名個人投資家も存在するが、FXの世界では私の知る限りほとんどいない。

リスクヘッジとして注目されたスワップ金利

FXはゼロサムゲームだと言われている。本当にゼロサムなのか正確なところでは議論があるが、概念としては確かにゼロサムに近い。ゼロサムとは勝ち組と負け組の利益と損失を合計するとゼロになることを指す。

つまり誰かが大きく勝てば、その分、大負けする人が出てくるということだ。為替相場は、「買い」と「売り」だけで成り立っている。株式投資のように企業の成長により長期的に株価が上昇していく前提ではなく、企業の利益から配当されるインカムゲインもある。安定的・継続的に受け取ることのできるインカムゲインは株価が下がっときのリスクヘッジになる。

FXも以前はスワップ金利(スワップポイント)がリスクヘッジの役割をはたしていた。
以下は外為どっとコムの説明だ。

スワップポイントは金利の差! FXでは、為替差益以外の利益を出す方法があります。 それは、スワップポイント(金利差調整分)と呼ばれる2国間の金利差から得られる利益のことです。 つまり、日本のような低金利通貨を売って、豪ドル(オーストラリアドル)のような高金利通貨を買うと、その金利の差額を毎日受け取ることができるのです。

私がFXをこつこつ取引していた2004年から2007年頃までは豪ドル(オーストラリア)やNZドル(ニュージーランド)、南アランド(南アフリカ)は4%~10%の高金利だった。スワップ金利が10%の時に1万円投資すると年間で1000円が無条件でもらえるのだ。さらにレバレッジといって、手元の資金に対して大きな取引をできる仕組みを利用し、これを2倍に設定すると1万円の投資で2000円になる。

スワップ金利で儲けられた天国のような時代

実際には南アランドだけでも、私は100万円をレバレッジ5倍で取引していたので、年間20万円がスワップ金利で入ってきていた。

毎日500円以上増えていったので、管理画面を見ているだけでも楽しかった。さらに資金を注入することで、スワップ金利だけで生活できるのではないかと、半ば本気で夢想したものだ。

スワップ金利は、金利自体に変更がない限り、2国間の通貨の変動とは無関係で、固定収入になる。なので、例えばドル円を買っている時には円高に進むと損失になるが、それでもスワップ金利と相殺することでトータルの損失を緩和することができる。

とはいっても2004年から2007年頃までは円安基調だったので、スワップ金利に加えて、為替差益も発生し、まさにウハウハ状態だった

世界金融危機で儲けが吹き飛んだ

ただ今から考えるとこの当時はスワップ金利に頼った投資スタイルの投資家にとってはたまたま良い時期だった。そして往々にして投資環境というのは変わっていくもので、日本投資家にとって天国のような環境も数年で終わりを迎えた。

日本の政策金利は変わらず低金利が続いていたが、2007年にサブプライムローン問題を発端とした世界金融危機が起こり、各国が一斉に金利を下げ始めたのだ。不況になるとお金回りが悪くなる。その対応として金利を下げて、お金を借りやすくするのだが、高金利通貨の国々もどんどん金利を下げ始めた。

豪ドルやNZドルは一時期は7%超あった金利が、1年間足らずで半分の3%程度に下がってしまった。南アランドはまだ6%程度はあったが、経済が不安定なため、通貨安が一気に進んで為替差損が発生し、スワップ金利どころではなかった。低レバレッジで運用はしていたものの、損切りするしかなかったのだ。

こうしてスワップ金利天国は幕を閉じた。2017年7月現在、豪ドルやNZドルの政策金利は1%台でかつての高金利通貨の面影は失ったままだ

南アランドは7.0%で比較的高金利だが、そもそもスワップ金利は中・長期間で稼いでいくスタイルなので、経済的に小規模の国に多額の資金を注入するのはリスクが大きすぎる。急に超円高になると、スワップ金利で稼いだ利益は一瞬で吹き飛んでしまうことになる。

FXで8億円稼いだ主婦を取材したことがあったが

一方で為替差益で利益を出すのも至難のワザだ。私はマネー系の書籍の編集者だったので、FXのカリスマ個人投資家やプロである機関投資家に何度も取材をした。

その際、仕事と趣味を兼ねて、FXで勝てるかどうかを、常勝法があるかどうかを粘り強く探してきたが、ついぞというか案の定というか見つかることはなかった。

以前、FXで8億円稼いだ主婦を取材したことがあったが、その人の相場予測はほとんど勘に頼ったものだった。一般人が再現可能なレベルに落とし込める具体的な手法は最終的に聞くことができなかった。

私が「サブプライムローンでは損失は被らなかったのですか?」と聞いたら、「これといった理由はないのだけれど、いったん資金を引き揚げていたので、無事に済んだんです」という。

多額の脱税で告発されたこともあるので、稼いでいるのは事実に間違いない。そうなるともう天才という言葉でしか説明がつかない。ただし彼女が今でも儲け続けているかは不明だ。

生き残るのはリスク回避の上手なタイプ

センスの塊のような天才はどの世界にも存在する。FXにおいても、8億円稼いだ主婦の方のように勝ち続けている投資家が他にももしかしたらいるかもしれない。

しかし自分がその天才である確率より、資産を失う確率のほうがずっと高いので止めておいた方が無難だろう。

私は純粋に為替の動向を当てるのは、プロでも不可能という結論に至っている。

それこそ為替トレーダーで長く生き残っている人もプロを含めていないことはないが、コツコツと取引を行うリスク回避の上手なタイプの人が多い。派手な勝負で勝ち残っている人は見たことも、ほとんど聞いたこともないのが現実だ。

「でも、『ダイヤモンドZAi』とかでFXの達人としてトレーダーが紹介されているじゃないか!」と思う人もいるだろうが、私のスワップ金利によるトレード手法がうまくハマった時期があったように、数年間であれば、勉強熱心やセンスのある人ならば、儲けられるかもしれない。

ただギャンブルと一緒で止め時が難しい。為替のトレンドが変化しているのにもかかわず、過去の成功体験にとらわれ、トレード手法を変えられず、その結果、築き上げてきた資産を失ってしまうのだ。

FXの他にも金融商品はある

というわけで結論としては、FXは儲からないので止めた方が良いということになる。

これからFXを始めようと思っている人がいたら、なんとも夢のない現実をつづったエントリーになってしまったが、何もお金の稼ぎ方はFXだけではない。

不動産投資は世間的にはリスクが高いといわれているが、資産運用の世界では「最後は不動産」と言われている。これは資産を築いた人は、さらに資産を大きくするため不動産を始める傾向があるという意味だ。

それほど市場が安定しており、儲けられる可能性が高いからだ。日本だけでなく世界中に「大家さん」は存在していることが、投資として稼ぐ手法の再現性を証明している。

FXに夢を見るものも悪いことではないが、私はより勝てる確率の高い金融商品に資金を投入すべきだと思う。