2017年6月18日(日)にフジテレビの「ザ・ノンフィクション 会社と家族にサヨナラ・・・ニートの先の幸せ」を興味深く見ました。
私はこの番組が好きで毎週録画して見ているのですが、今回はネットでも有名なニートのphaさんが出るということでいつもに増して楽しみにしていました。
phaさんは京大卒でありながら、「働くのがしんどいので、無職で低収入でも生活できれば良い」という考えの人です。
こうした意見には賛否両論がありますね。そして実際に賛否についてネット上で議論が巻き起こった過去があるので、phaさんは番組で「日本一有名なニート」と紹介されるぐらい知られているわけです。
能力はあるが社会に適応できない人
番組ではphaさんの最近の生活について追っていましたが、phaさんよりもむしろシェアハウスの同居人や、部屋に訪れる仲間たちに焦点が当たっていました。
興味深かったのは番組で紹介される多くの人が、ギーク(PCやネット関連の技術に深い知識を有する)で、フリーのプログラマーだったり、それぞれ人にはない得意分野を持っていました。
そして共通していたのが、社会に対して妥協して適応できないという自覚があることでした。たとえば「上司に怒られるのが本当に嫌で」とか「納得いかない仕事をするのは僕には無理なんで」のような発言が目立ち、繊細な印象を受けました。
真面目できちんと働いていけるだけの教養と知識がありながら、会社という組織の中では息苦しくなり、仕事を続けることができないようでした。
期待値のコントロールを意識する
私は番組を見ながら、「わかる。わかるわ~」と同感しつつも、自分はそこまで会社や上司に対して強い不満はないなと自覚しました。
私も20代の頃は、上司の理不尽な指示に対して反発したり、仕事でミスを繰り返す後輩に対してイライラが止まりませんでした。日々かなりのストレスを感じていましたし、ほぼ毎日仕事を辞めたいと思っていました。
ただ30代になるにつれて、期待値のコントロールを意識し始めたころから楽になりました。これは元外資系コンサルに勤めていた先輩から教わったことなのですが、相手に対して期待をしない、そして自分にも過度な期待をさせないようにするという考え方です。
自分の基準が世の中の基準というわけではないので、当然間違った指示が上司から飛んできたり、ミスを繰り返す後輩もいるわけです。そこについては最初からあまり期待せずに織り込み済みということで自分の中で準備しておくわけです。相手に期待しないことで受け流せる項目も増えていきます。
期待値のコントロールは外部に対しても有効
この期待値のコントロールは外部に対しても有効です。たとえば新商品の企画を会社で説明する際にも、あまり派手な売上計画を示すのはやめた方がいい。
企画会議で強気な発言をすることで参加者の同意を得るのは気持ち良いものですが、結果が出なかった時に責任をとることを求められます。
そうではなくて企画が通るレベルの提案にとどめておく。
「こうした商品をラインナップに加えることで、顧客に対する当社のブランディング強化に確実につながります」ぐらいに伝えておく。
その上で売上という結果が出れば、会社からの評価は積み上がるし、売上が上がらなかった場合でもそもそも売上面には期待されていないので、プロジェクトに対しての責任は問われません。
逃げ道ばかり作っておくのは良くないですが、仕事を長く続けていくうえで、こうしたテクニックは会社員である我々を守ってくれます。
自分の考え方を変えるのが一番楽である
phaさんの仲間たちに話を戻すと、ニート生活になって精神面で快適になり、色々な問題が解消されたのかというと、そうではなさそうでした。番組を通じてお金がないことによるストレスや共同生活を維持するための気苦労があるようでした。
「人間は仕事から解放されてもけっこう大変なんだな」と思いつつ、自分の考え方を変えて理不尽な社会を受け入れてしまった方が楽なんじゃないか、というのが番組を見た後の私の結論でした。それが難しい人もいるとは思いますが。