週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

同業界・同規模への「スライド転職」を避けるべき理由

スライド転職とは同業界、同規模の企業に年収や待遇もほとんど同じ条件で転職することを意味します。

この言葉は、以前私が勤めていた会社内でよく使われていたものです。

その会社は中堅クラスの出版社だったのですが、仕事の量や残業時間の増加が恒常的な問題になっていたものの、何の手当もしないまま放置されているような、ややブラックな企業で、そのため、逃げるように人が辞めては、中途採用で補充を繰り返すという、なかなかな状況でした。

毎月誰かしら辞めていくので、そのたびに転職&退職を報告するあいさつが社内メールで飛び交うことになります。

転職先として一番多いのは、経営が安定していて、かつ年収アップにもつながる、より好条件な企業に転職するパターンです。

残される我々社員としては羨望の眼差しをもって彼らを見送ることになります。そして「次こそは自分が……!」と固く決意して、目の前の仕事に戻るのです。

また、たまにいるのが、年収や休日は減ってしまうけど、やりがいを求めて、ベンチャー企業や他業界にイチから入り直すパターンです。

こういう人は尊敬に値します。なぜならお金よりも大事なものがきっとその人の中にあって、それを探しに、さらなる嵐へ向かって船出をするのですから。

しかし一方で、私の理解範疇を超えており、けれども一定数の割合でいるのが、冒頭の「スライド転職」をはたした人たちでした。

なぜ人は、スライド転職をしてしまうのか

スライド転職をはたす人の状況や心理は以下のようなものです。

・実際に同業他社から誘いを受けている
・同業他社がよく見えてしまう(隣の芝生が青く見えている)
・今の仕事や会社の人間関係に嫌気がさしている

 

気持ちはわかります。気持ちは。

今いる会社で評価されていなかったり、仕事に行き詰まりを感じていると、同業他社が輝いて見えるときがあります。

そしてそんな時に、仕事で知り合った同業他社の部課長レベルの人から、「うちに来ない?」などとオファーされたら、それは気持ちが傾くのは当然です。

同業界であれば、自分の経験を活かしやすいし、未知の転職に対する恐怖はかなり減退します。

ただ、同業界で同規模の企業だと、たいてい年収や待遇も大きく変わることはありません。こういったスライド転職をはたした人から、転職から1~2年経った後に話を聞くと、たいてい不満たらたらで、「実はもう次の転職を考えている」などと漏らしたりします。

つまり、転職をしてみたけれど、結局、年収や待遇(福利厚生や休日の日数)はもちろん、人間関係さえも前のブラックな会社とそれほど変わらない状況だったりするのです。

労苦に見合った代価、それが年収アップである

なぜスライド転職により、こうした負の状況に陥ってしまうのでしょうか。

そもそも業種や会社を問わず、仕事って本来面倒なものです。

仕事は上からどんどん振られますし、体調がすぐれない日でも、重要な会議が入っていれば通勤しなければならない。常にストレスのない状態なんてまず生まれないと思った方がいい。

そうなると、人はその労苦に見合った代価を求めることになります。

それが大幅な年収アップだったり、退職金のアップだったりするわけですが、スライド転職ではこれが得られないのです。

転職する時はせめて年収100万円アップを条件に

私も同じ出版業界で、3社わたり歩いてきましたが、転職する時には「最低でも年収100万円アップ。できれば300万円アップ」と決めていました。

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どんなに評判の良い会社だったとしても、実際に入社してみるまでは、実情はわからないものなので、転職はやはりリスクがあります。

また、転職できる年齢も35歳くらいまでなので、転職するチャンスは意外と限られいます。ひとつの会社に3年ぐらいいるとすると、たいていは2~3回しか転職できません。

そうなると、せめて数字ではっきり答えが出る部分である年収アップは譲れません。私はせめて年収100万円アップしないと、リスクが大きすぎると考えていました。

実際、私は最初の転職で年収は250万円から500万円に、2回目転職で900万円へ大幅アップを果たしたのですが、ストレスの発散自体、お金で解決できることもあるので、年収アップを転職の条件にして正解だったと感じています。

最後に転職して5年以上経ちましたが、やはり嫌なこともありました。上司や取引先との人間関係に疲れてしまうこともあります。でもこれは最初から分かっていたことなので、自分の中で受け入れる準備ができていました。そのため大きな問題にはなりませんでした。

「嫌なこともあるけど、苦労に見合う給料をもらっているし、しょうがないな」と思えたのです。
そして旅行に行ったり、スポーツすることで心身のバランスをとるようにしました。

これがもし転職によって年収が変わらなかったり、下がってしまったら、労力に対する対価がない状態になります。

スライド転職だと、「ふざけるな、辞めてやる!」となって、また転職を探すというループ状態に入ってしまうのです。

60代、70代の自分から感謝される行動をとる

20代や30代前半ぐらいだと、転職の目的を「年収アップ」に置くことに、違和感を覚える人もいるかもしれません。

自分のやりがいとか、社会への貢献を重視している人の中には、自分の意思決定の条件にお金が影響してくることに嫌悪感すら抱く人もいます。

しかし、高品質なサービスに企業や人は多くのお金を支払いますから、会社の売上が多く、そして従業員の年収が高いというのは、イコール自分の仕事が社会に認められた証拠でもあります。

また給料を多くもらうと、社会保険料や税金を納めることになるので、同時に社会への貢献も果たせます。

そしてこれも20代や30代前半だとピンとこないのですが、多くの社会保険料を支払ったり、退職金の多い企業に勤めることで、60代、70代の自分から感謝されることもあるでしょう

人間はその歳になってみないと、わからないことがあります。そのため、私は年長者の話をよく聞くようにしています。

すると、現役をリタイアした人の多くが「退職金の多い企業に勤めていてよかった」とか、「社会保険料は多く支払っていた方がいい」と口を揃えます。

やりがいが仕事をチョイスするうえで重要であることは間違いないですが、同時に将来の生活を見据えて転職先を探す必要もあります。

先人たちのアドバイス「有給を取得せよ」

最後に現役をリタイアした人の多くの人が後悔していることで、いただいたアドバイスがあります。それが「もっと有給を消化した方が良かった」というものです。

現役時代だと、忙しかったり会社や同僚に遠慮することで、有給をほとんど使わずに年々有給日数だけが溜まっていきます。

しかしリタイアした後だと、やっていた仕事の内容とか、会社や同僚への気遣いというのは、それほど大きいものとは感じない一方で、むしろせっかくの会社員としての権利であった有給という制度をなぜ自分が行使しなかったのか、という後悔にさいなまれるというのです。

そもそも自分が周囲に気をつかって有給をとらないことで、周りの同僚も有給がとりづらくなっている状況があります。

そのため私は有給をなるべくとるようにしています。

それでもまだ半分くらいの消化率なのですが、「有給、みんなで取れば怖くない」という気持ちをもって、積極的に取得していくことが、職場環境の改善にもつながると思います。