週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

インターン生を安い労働力で搾取するベンチャー経営者の話

インターン生を戦力とみなすベンチャー企業

「早慶の学生をインターンで大量に採用すれば、人件費を大幅に節約できる」

これは先日、久しぶりに会うことになったIT系ベンチャー企業を経営する友人の発言だ。

その会社は社員15人程度の小規模なベンチャー企業だが、常時5~6人のインターン生が働ているらしい。

友人が経営する会社は、ベンチャー企業にありがちな、売上はそれほど上がっていないけれど、とにかく仕事が山積みになっている状態で、猫の手も借りたい状況とのことだ。

しかし従業員を雇うにも、先立つ資金がない。まだ無名のベンチャー企業のため優秀な人材を確保するのは困難だし、事業もどう伸びていくか分からない中で、正社員を雇用するのは経営者にとっては勇気のいることだ。

そこで頼みの綱になっているのが、インターン生というわけだ。

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昼食代・交通費は支給するが原則無報酬

彼のやり方はこうだ。

まず早慶レベルの優秀な学生に絞って、大学を通じてインターンを募集する。

実働5日以上のプログラムで、昼食代・交通費は支給するが、原則無報酬という条件だ。

一部の企業で採用を目的化としたインターンが常態化しており、しばしば批判されているが、彼の会社の場合、そもそも採用する余裕も予定もないため、大学側には「採用に直結しない」と事前に伝えておく。こうした姿勢にはインターン先を学生に紹介する立場の大学側にはプラス材料に映るという。

そして、集まってきた学生に「現場を体験させてやる」と伝えて、営業や雑務などの仕事をどんどん振るのだ。

いかにして学生を集めるか

「君の会社にも学生はインターン生として応募してくれるの?」

私は友人に質問をした。

やる気があって、気の利いた優秀なインターン生が集まってくれるとは限らない。なぜなら有名企業や一流企業の方が当然インターン先としては人気で、無名のベンチャー企業には学生はほとんど振り向いてくれないからだ。

彼は「ふつうは集まらないけどね」と前置きしつつ、以下のように続けた。

「うちの会社は無名のベンチャーではあるけど、扱っているサービスはフィンテックというITと金融を掛け合わせた最先端の分野。しかも企業向けのサービスだけでなく、個人向けにアプリも開発していてAppStoreですでに公開している。だから、学生に事業やサービスを説明しやすいし、それで感度の高い学生や将来的に起業を目指す学生が関心を示してくれるんだ」

フィンテック(FinTech)とは、Finance(ファイナンス:金融)とTechnology(テクノロジー:技術)を組み合わせた造語で、IT技術を使った近年注目されている金融サービスのことだ。

フィンテックはキャッチーなワードなので、たしかに学生の興味をひくかもしれない。

インターン生にインターン生を教育させる

それでもいくらやる気のある早慶レベルの学生が手を挙げてくれたとしても、まったく社会人経験もない者ばかりのはずだ。そうした人材をインターンで受け入れるのは、逆に仕事が増えてしまうリスクもある。手取り足取り指示してあげないと何もできない学生もいるだろう。

この疑問にも彼はこう答える。

まず、複数人いるインターン生の中でも特にモチベーションが高く、リーダーシップのある人材を見極めてリーダーとして任命する。そしてそのリーダーを他のインターン生の指導役として育てていく。

インターンは長いと半年以上に及ぶが、次第に去ってしまうので、在勤のインターン生には「優秀な学生がいたら誘って」とゼミの同級生や後輩に声をかけてもらって、なるべく出来の良い学生を集めて、そこからさらに次のリーダー役を探してく。

こうすることで、忙しい社長や社員の労力を大きく割くことなく、仕事をこなしたり、覚えてもらうことができるという。

安い労働力の学生を大人が搾取している?

彼によると、こうしたほぼ無報酬でインターン生を戦力として囲い込み、働いてもらうというのは、ベンチャー企業では珍しいことではないらしい。

学生も型にはまったインターン研修より、熱い現場を体感できた方が自分の為になるし、その経験は社会人になってからも貴重な財産になると彼は言う。

私からすると、安い労働力として学生を大人が搾取している構図にも見える。

私が学生の立場だったら、報酬をしっかりと要求したいところだが、退屈な毎日で時間だけが過ぎていくことに飽き飽きしている優秀な学生からしたら、無報酬でも参加して良かったと思うのだろうか。


似たような話なので、よければこのエントリーもどうぞ。

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