週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

キリンビール飲み会パワハラ疑惑は「高知支店の奇跡」の敏腕支店長が元凶の模様

テレビ東京の『ガイアの夜明け』で放映されたキリンビールの飲み会がビールが不味くなると話題になっているようで。

番組では業界シェアNo.1のアサヒ「スーパードライ」の牙城を崩すべく奮闘している2位のキリン「一番搾り」の営業部を密着取材していました。

私も録画を昨夜見ました。

思ったほどひどくはなかったけれど、これがなかなか面白い。

たしかに飲み会の席で上司にこんな感じで絡まれたら嫌になります。

飲み会の席で営業担当者は、同部署の先輩に「覚悟が足らん」「お前、どれだけやっとんねん」「やれや!できるやろ」と叱責されるのです。

営業担当者は涙がこぼれ落ちるほど追い込まれます。

kabumatome.doorblog.jp

飲み会では仕事の話は極力控えて楽しく飲むのが先輩や上司が意識すべきマナーだと思うのですが、説教する気満々で、飲み会を開催し、さらに具体的な改善ポイントを指摘してくれるならまだしも、根性論で「やれや」とつめられたら、ウツになるだけですね。

受験競争に打ち勝ち、やっと入学した大学ではきびしい体育会の練習に明け暮れ、その結果、ようやく手にした大企業の切符。

両親・親戚一同に祝福されながら期待を胸に入社したのに、待ち受けていたのがこんな職場環境では辞めたくなりますよね。

営業は数字が求められる部署ではありますが、現実的にアサヒビールとのシェア争いはかなり差が開いている状態なので、「やれや」と部下に迫っても何も変わらない気がします。

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ネットでもこの飲み会について散々批判されていて、全然関係ない第三者なのに電話までして抗議した人もいたようですが、もうこれはキリンビールの社風だと思います。

ninosan.hateblo.jp

『ガイアの夜明け』は報道番組ではないですし、キリンビールぐらいの規模の企業になると、テレビ東京としてもCMスポンサーの上客ですから、おそらく放送前にキリンビールの広報が番組内容のチェックをしているでしょう。

その上でこの内容をキリンが認めて放送したと考えると、この先輩の説教は社風として当たり前の文化なのでしょう

この社風は、同社の有名人である田村潤氏の著書を読んでもひしひしと感じることができます。

キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! (講談社+α新書)

キリンビール高知支店の奇跡 勝利の法則は現場で拾え! (講談社+α新書)

 

いやこの田村氏こそ、この飲み会にみられたような根性論を押し付ける社風を浸透させた人物かもしれません。

田村氏は『キリンビール高知支店の奇跡』という書籍の著者で、営業出身のド根性を武器に、地方のダメ支店の売上を劇的にアップさせた敏腕マネージャーです。

同支店の売上をアップさせたばかりか、高知県でのアサヒビールのシェア争いにも打ち勝ち、県内トップシェアを奪回しました。

私もつい先週この書籍について書評をエントリーしたところなんですね。

www.kotsulog.com

その後、田村氏は結果を評価され、どんどん出世していきます。

高知支店の支店長から四国の営業本部長へ、そして東海地区の営業本部長になり、最後は本社代表取締役副社長まで昇りつめます。

営業マンとしては剛腕そのものですが、この本に書かれた営業手法は革新的な内容ではなく、地味な努力の積み重ねでした

基本的には以下のようなものです。

・外回りの件数をとにかく増やす
・内勤の女性社員を営業に回す
・残業もやむ得ない

 

このほかに「会議の時間をなくす」などの工夫もしていますが、すべては営業活動に労働力を集中投下するための施策です。

田村氏は同社で代表取締役副社長だけでなく、営業本部長を兼任していましたが、営業本部長として、こうしたド根性スタイルの営業を同社に徹底したのです。

田村氏が言うには、地道な営業活動は最初は大変だけれども、効果が出てくると徐々に楽しくなり、最後はほとんど苦にならなくなるそうです。

いや、そこまでやれば成果が出て楽しくなることもあるだろうけど、社員にしてみれば社畜一直線ですね。

私は上記エントリーで、

書籍ではやんわりと書かれていますが、高知支店のスタッフは毎日残業し、働きまくったようです。読んでいて「今の時代ではこれはブラックなのでは?」とそわそわしました。

と書きましたが、成果を出すには、とにかく努力と行動力しかない。そのためには残業やむなし!という社風があるような気がします。

たしかに地道な努力を積み重ねることで、一定の成果はでると思いますが、結局アサヒビールからシェアは奪還できていないので、何か抜本的な対策を考える必要があるのではとも思います。

番組ではこの飲み会で店を出た後に、叱責された営業マンが上司と肩を組んで、「明日から頑張るぞ」みたいな感じになっていたのが、ちょっと救いを感じるとともに、一方で飴とムチというのか「オレは愛のある説教をしてやったんだ」という上司のドヤ顔を見て、「何だかなあ」と疲れを感じてもしまいました。