個人年金保険って知っていますか?
個人年金保険は保険料を積み立てることで、将来、年金を受け取れるという保険商品です。
国民年金や厚生年金を公的な立ち位置だとすると、個人年金保険は私的な金融商品ということになりますね。民間の保険会社が提供しているサービスになります。
そのためもちろん加入の義務はないのですが、その一方で加入すると節税効果の恩恵を受けることができます。個人年金保険料控除という生命保険や医療保険とは別枠で保険料控除が設けられているのです。
国からすると、「個人年金って国の制度ではないけど、大事な国民の老後生活の準備ということなら税制的に援助しましょう。その方が国としても経済的だし」というところでしょうか。
当ブログは最近ジャンルを問わず書き散らかしているわけですが、そういえば年収1000万円以上の方に対して節税を謳っていたということで、今回は年収1000万円以上の方に対して個人年金保険はアリかナシかを独断と偏見で決めたいと思います。
個人年金保険の節税効果とは
まず個人年金保険は「個人年金保険料控除」を受けることができ、節税効果としては、以下になります。
つまり所得税の控除額が最大4万円、住民税の控除額が2万8,000円です。合計の節税額を下記に表にしました。
課税所得金額は所得税率が異なりますが、年収1000万円の場合、「331万円~695万円」となるケースが多いので、年間節税額合計は10,800円となります。
さらに元本自体も保険会社で運用されて、利子がつきます。この利子は返戻率によって決まってくるのですが、私が選んだ東京海上日動あんしん生命は30歳時の加入で119.2%となっています。
自分で計算するのが面倒なので、私が参考にしたこちらのサイトで確認しましょう(どんなサイトかよく知らないですが)。
30歳の時に月額保険料10,000円で申し込むと、払込期間が60歳までなので総払込保険料が3,600,000円となり、総受取年金額が4,293,700円になります。
利子の金額が
4,293,700円-3,600,000円=693,700円
となります。
この利子額に対して、30歳から60歳まで30年間続く毎年10,800円の節税効果を加えてみましょう。
693,700円+(10,800円×30年)=1,017,700円
合計が1,017,700円になりました。やった! 100万円を超えました。
毎月12万円の払い込みなので、年利で計算すると28%になります。投資としては十分なパフォーマンスです。複利効果がないのが残念ですが。
また肝心の返戻率ですが、これは加入時の年齢によって変わってきます。私も35歳の時に加入したので実際には30歳時の119.2%より下回っていました。返戻率については保険会社に直接確認した方が確実で早いです。
私が実際に検討したのは東京海上日動あんしん生命とアフラックでしたが、他にも利率の良い保険会社があるかもしれません。
節税効果を最大にするには年8万円の払込む
さて、個人年金保険の節税効果を最大にするには、年間8万円以上の払込みが必要です。
保険会社で異なるかもしれないですが、東京海上日動あんしん生命は月々5,000円~3万円の範囲で5,000円刻みで選ぶことができたので、私は1万円を選択しました。
年間の支払額が8万円以上になるようにすると月々5,000円だと年間6万円となり、8万円に届かないからです。
月々1万円であれば、そう負担にならないし、銀行の普通口座に置いておくぐらいなら個人年金保険を利用した方が良いでしょう。
控除を受けるための要件
個人年金保険を検討する際には、控除を受けるための要件があるので先にチェックしておきましょう。
① 年金の受取人が、契約上、自分かもしくはその配偶者であること。
→ただし自分が主契約で、配偶者の奥さんが年金を受け取る場合は贈与税の対象となるので注意が必要です。
② 保険料払込期間が10年以上であること。
→30代~40代であれば問題ありませんね。
③ 年金支払開始は60歳以上で、かつ年金支払期間が10年以上になる。
→保険によっては一括で受取ることもできますが、節税目的で行うなら年金支払期間は10年間は必要です。
保険会社が倒産してしまったらどうなるか
さて、この個人年金保険ですが、インターネットで検索するといくつかデメリットが指摘されています。
たとえば「保険会社が倒産してしまったらどうするのか」とか「一度契約したら途中解約できない」などです。
まず保険会社が倒産してしまったらどうなるかですが、これについては私も申込み時に保険会社の東京海上日動あんしん生命に電話をして聞いてみました。
同社の説明によると、生命保険契約者保護機構により、「責任準備金」の90%が上限で支払われるとのことでした。責任準備金とは生命保険会社が保険料や運用収益などを財源として積み立てているもので、保険業法により積み立てが義務づけられています。
引っかかったのが「責任準備金等の90%までは補償される」というのは、保険金・年金等の90%が補償されることを指しているのではないことです。なので倒産した際に、どのぐらい戻ってくるかは詳細が不明でした。
色々と尋ねていたのですが最後は「健全な経営内容ですのでご安心ください」という大変勇気づけられるお言葉をいただき、こちらも疲れてきたので質問タイムは終了。
この言葉を鵜呑みにはできませんが、実際に2007年の世界金融危機の際も日本の保険会社は無事でしたし、過度な心配は不要ということで自分の中で結論づけました。
インフレが起きても途中解約できないが
また「途中解約できない」という意見ですが、途中解約自体は契約後数年経てばできます。そして解約返戻金として払い込んだ保険料が戻ってきます。ただし、支払った保険料よりも少なくなります。これはそういうものだとして割り切るしかない。
長い人生では、事故に巻き込まれたり、大病を患うなどいくつものリスクが潜在しており、いつお金が必要になるか分かりません。それでも月1万円、年12万円であれば、そう大金ではないし、あまりリスクばかり考えていてもしょうがないです。
お金の考え方は人それぞれですが、私は個人年金保険も資産運用の一環で分散投資の1つだと捉えています。
つまり将来に備えておく金融商品の1つです。途中で死んしまったらそれはしょうがない。でも確率的には老後まで生きている可能性の方が高いので、これに備えてできることはやっておいた方が良いという考え方です。
日々の生活を切り詰めてまで、将来に備えることはないですが、低金利が長年続く日本では、余裕資金を銀行の普通口座に置いておくほどもったいないことはないです。
こういう話をすると「ではインフレーションが起こったらどうする? そうなったら銀行預金の方が利回りが良くなるのでは?」という指摘を受けることがありますが、そのための分散投資なのです。
インフレが起こる可能性はもちろんあります。その際に利回りの良い金融商品に投資できるように、動かせるお金は別に確保しておくべきでしょう。そのうえで個人年金保険を利用した節税対策は大金ではないので、途中解約できないデメリットは限定的だと判断できます。
私はすでに個人年金保険に加入して数年経っていますが、加入して正解だと考えています。