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【書評】ラグビー元日本代表監督エディさんの『ハードワーク』を読んでみた

2015年ラグビーW杯での日本代表の健闘とその後の五郎丸ブームはまだ記憶に新しいですね。

本書は、世界的な強豪の南アフリカ代表に勝つなど、W杯で4戦3勝1負の成績を残したラグビー日本代表監督のエディー・ジョーンズさんの著書です。

ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング

ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング

 

ラグビー日本代表は、W杯ではなんと20年以上勝利がない状態でした。
それが突然南アフリカ代表に対して勝利を挙げただけでなく、計3勝をあげたのです。

本書は2012年4月の監督就任からW杯までの道のりや、いかにして勝負に勝てるようになったかが書かれています。

私がとくに印象に残った点を4点だけお伝えしておきます。

1. スケジュールを固定しない
2. メッセージはシンプルを心掛ける
3. 戦いに興奮はいらない
4. 常にゼロから始める

 

簡潔に順番に説明しちゃいますね。

1. スケジュールを固定しない

これが私にとっては一番衝撃と言うか、ある意味、読み手の心を折る個所だと思います。

エディさんは、ゴールは変えずに、スケジュールを変えろと本書で説いてます。

通常のプロジェクトでは、スケジュール通りに進まなかったり、マーケットの環境に変化が生じると、ゴール(目的)の内容を修正することがあります。

もっと具体的に言うと、ゴールのハードルを下げてしまいます。しょうがないですよね。

しかし、エディさんはこれを良しとはしません。
目的は絶対に変更せずに、スケジュールを変更します。
そこには練習内容だけでなく、物理的に練習の頻度を増やしたりすることも含まれるそうで、これは当事者にとってはかなりきついことです。

通常の努力に加えて、さらにそこへ負荷がかかってくるわけですから。

ただし、エディさん率いるラグビー日本代表のように、何か偉業を成し遂げるには、そのぐらいの強い意志と努力が必要ということでしょう。

ここまでやらないといけないのか、と思ってしまいますが、日産自動車のカルロス・ゴーン氏も「コミットメント」という言葉で、目標を強い責任感をもって果たす文化を同社社内に植えつけました。

エディさんも同様のことを日本の選手に求めて結果を出したのです。

2. メッセージはシンプルを心掛ける

トップのメッセージはシンプルでないと伝わりません。

口酸っぱく伝えているつもりでも、実際にはそれほど人の言葉は伝わっていないものです。

そこでエディさんは、本当に伝えたいことを1つだけに絞って、わかりやすくメッセージとして伝えるようにしました

これなら選手の全員が容易に理解でき、意思統一も可能になります。

つい思いついたことをバーッと口にしてしまう上司っていますよね。

言ったことで満足してしまっている。それでは部下は動いてくれないし、組織は改善されていかないのです。

3. 戦いに興奮はいらない

エディさんがラグビー日本代表の監督に就任した当時、選手たちはひどく興奮し感情的であることに驚いたと言います。

大学ラグビーであれば、試合前のロッカールームでは、大声を出し合って、鼓舞し合うのが普通です。

しかし選手が興奮したり、感情的になることについて、エディさんは否定的です。というか「馬鹿馬鹿しい」とまで言っています。

ラグビーの試合時間は長いのだから、いつまでも興奮状態は続かないし、試合に勝つには常に冷静でいなければなりません。

格闘技のK-1で活躍した魔裟斗さんも「試合では気持ちは熱く、しかし頭は冷静にいなければならない」とよく言っています。

一流のアスリートは頭の中まで興奮状態になってはいけないのです。

4. 常にゼロから始める

エディさんはオーストラリア人ですが、複数の異国で仕事をしてきました。

その過程で学んだのは、過去の先入観や成功体験にとらわれてはいけない、ということでした。

これは私も仕事の異動や転職の経験で同様のことを感じたことがあります。

前の職場で正解とされていた仕事の手法やルールを、新しい職場に持ち込もうとしても上手くいかなかったのです。

スタッフや市場環境、お客さんが異なれば、今までのやり方が通用しない部分が出てきます。しかし先入観や成功体験にとらわれている人は、これに気づきません。

多くのビジネス書でも語られていることですが、成功体験を捨て去り、新しい職場の環境をよく観察して、ゼロから始めなければならないとエディさんも語っています。

ゴールドマン・サックス社長もエディさんに共感

上記4点は本書の一部に過ぎません。

読む手によって、心に刺さるポイントは違うだろうなと思いながら読んでました。

本書は組織論について書かれており、そういう意味では経営者向けのビジネス書に近いです。

後輩や部下がいる人も参考になるでしょう。

事実、本書の文末ではゴールドマン・サックス日本法人の社長である持田昌典氏がメッセージを寄せています

ゴールドマン・サックスは金融業界では世界最強と言われる外資系企業です。

その日本法人のトップが持田氏というわけです。年収も8億円だとか。

持田氏はゴールドマン・サックス社内の社員向けのセミナーにエディさんを招待したことがあるようです。

そしてエディさんの言葉の使い方をとても工夫していると高く評価しています。

相手に伝わるように、相手を観察しながら、様々な表現を使って、自分の伝えたいことを伝えていく。エディさんにはそうした組織のトップに求めれる能力が備わっているのです。

2017年現在、エディさんはイングランド代表監督に就任しています。2019年のラグビーW杯で日本代表と対戦できたら面白いですね。

ハードワーク 勝つためのマインド・セッティング

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