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【書評】「聖域」で暴露された関東連合のエグい稼ぎ方

『聖域 関東連合の金脈とVIPコネクション』(宝島社)は関東連合の元幹部・柴田大輔氏の身内暴露本です。

3部作の最終編らしいのですが、この1冊だけでも楽しめます。私も前の2作品は読んでいません。

2000年代初期のITバブルに始まり、2012年9月に発生した六本木クラブ襲撃事件まで、関東連合の内部の実情が著者の視点でかなり赤裸裸に描かれています。

「ここまで書いて大丈夫なの?」とこちらが心配するぐらい過去の違法行為についても書いてしまっています。

六本木クラブ襲撃事件については世間の注目を浴びたので覚えている人も多いでしょう。

東京六本木のクラブ「フラワー」で飲食店経営の男性(当時31)が目出し帽をかぶった関東連合の男たちに鉄パイプなどで暴行され死亡した事件です。

著者はこの事件に加害者として関連していませんが、関東連合の元幹部としてかなり詳細まで事件の内容を把握しており、登場する人物はイニシャルばかりで読みづらさはあるものの、事件の前後の状況について詳細に記載しています。

半グレはあれだけのお金をどうやって稼いでいるのか

本書のようなヤクザや不良の世界を描いたノンフィクションは、喧嘩のシーンや権力闘争など刺激的な内容が多く、単純に読み物として面白いのですが、私が特に興味をひかれたのは、関東連合の金の稼ぎ方です。

歌舞伎俳優の市川海老蔵暴行事件の際も、メディアが関東連合について、西麻布界隈で毎晩派手に遊んでいるという報道をしていましたが、あの近辺のバーやクラブのサービス料って都内でも屈指の高価格ですよね。それを毎晩のようにお店をはしごして飲み歩いたら、通常であればお金がいくらあっても足りないはずです。

「悪いことして稼いでいるんだろうなぁ」と想像してはみても、具体的にどうやって稼いでいるのか私は疑問でした。関東連合はヤクザとは違うので、スナックやキャバクラに対する用心棒代としての「みかじめ料」のような収入はないだろうし。

しかし本書にはその答えが書いてありました。

関東連合幹部の3つの事業

著者は関東連合のメンバーの金稼ぎを以下の3点に分けて説明していました。

1.IT系広告代理店
2.アダルトビデオの制作
3.闇金融

 

大きくわけるとこの3つになるんですね。
「1.」は合法ですが、「2.」は一部グレー。「3.」は違法です

違法行為の内容を本に書くことは関東連合の仲間からすると裏切り行為に当たりますが、著者は気にせず詳細に記載しています。

それぞれの事業において、組織の代表は関東連合の幹部が務めていて、部下は関東連合のメンバーだったり、一般人だったりします。

「1.IT系広告代理店」は著者が起業した事業です。いち早くモバイル広告に注目し、持ち前の行動力と人脈を活用して、急成長を果たします。

IT事業の前には人脈を生かして芸能プロダクションを営みますが、苦労の連続で、全然上手くいかない。しかしIT事業を始めたことで、事業が急に軌道に乗り出し、成功ストーリーを突き進みます。

毎月のように売り上げが倍々ゲームで伸びていく様や、ライブドアの元副社長から会社の買収を持ちかけられたりと、なかなか読み応えがあります。成長産業にタイミングよく乗っかったことで著者はチャンスをものにしました。

しかし、それからしばらくして2010年11月に海老蔵暴行事件が明るみになると、関東連合は社会の注目を一気に浴びることになります。

この事件により著者も関東連合の元幹部であることが周囲にバレてしまいます。著者は社員や取引先に迷惑がかかることを懸念し、最終的に経営から離れることを決意します。それでも本書を読む限り、現在でも株式を所有しており、20億円以上の資産があるようですが。

闇金融でのエグい金の稼ぎ方

アダルトビデオの制作や闇金融は、いかにもアウトロー的な分野ですが、いろいろ仕事に工夫を入れていて感心する部分があります。

例えば闇金融の場合、事業をスタートさせる前に、別のライバルの闇金融に後輩を数名スパイとして送り込んで、そこでノウハウを獲得します。

いくら暴利の闇金とはいえ、やみくもに始めところで効率が悪く稼げないことを見越して対応しており、犯罪者ながらも感心してしまう部分があります。

そしてノウハウを吸収して、後輩がマネージャー格まで昇進したところで、顧客情報(債務者リスト)ごと盗んで、辞めさせます。

顧客情報さえあれば、翌日からでも闇金の営業を始められるので、これは大きいです。こうした裏のスキームについて本書はかなり細かく記載されています。

気分転換に良い1冊かも

本書は関東連合のドロドロとした人間関係のくだりは正直読み疲れしますが、上記で説明したマネーや、それ以外にも、著者と元K-1の石井館長やホリエモンとのエピソード、芸能人たちとの交流も描かれており、飽きずに読み切れました。

仕事関連や勉強用の真面目な書籍を続けて読んで飽きてきたときに、たまにこうした本を読むと、読書の気分転換になりますね。