週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

会社のパワハラ研修が衝撃だった

高まる世間のパワハラ意識

近年、パワーハラスメント(以下、パワハラ)の意識がすごい勢いで高まっている

世界的に人種・性・年齢を理由とした差別は、厳しく非難される時代だが、同時にパワーハラスメントにも世間は敏感になっている。

企業内のパワハラが、ひとたびSNSで拡散されてしまえばもう歯止めがかからない。
たちまちネット上でニュースとなり、その後、週刊文春と週刊新潮が競うように関係者に深堀り取材を敢行し、最終的に新聞の全国紙やテレビで取り上げられ、騒動は日本中隅々にまで知れ渡ることになる。

パワハラを許した企業は、深刻なイメージダウンを避けられず、学生の就職活動では敬遠され、社内の優秀な人材は流出していく。

近年ではこのような事態を未然に防ぐため、社内でパワハラ防止研修会を実施する企業が増えており、私も先日、自社で開催された研修会に参加した。

社員を「●●ちゃん」と子ども呼ばわりのはアウト

研修会は、ハラスメント問題に取り組む公益財団法人から客員講師を招いて開催された。
パワハラとセクハラを含めた「ハラスメント」は当日の資料によると以下のように定義されている。

行為者の意図に関係なく、相手を不快にしたり、人格や尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威や不安を与える行為

たとえば、上司が部下に対して、「そんな仕事していると昇給させないぞ」「どういう育ち方をしたんだ?」などと言うのは、以前は許されたかもしれないが、現在では問題に発展する可能性がある。

こうした発言が危険だという認識は私にもあったが、世間の意識の高まりは想像以上に高いもので、以下もパワハラ(もしくはセクハラ)に該当するという。

1.若い男性社員、女性社員を「●●ちゃん」と子ども呼ばわりする
2.不必要に容姿をほめる。ファッションについて言及する
3.仕事について上司が部下に「なぜできないんだ」と説教をする

 

どれもこれもうちの会社で見られる行為だった。
個人的にも「3.」については、社員教育として許される範囲だと考えていたが、講師によると「自分の仕事の基準で、部下を叱るのはよくない。能力には差があることを考慮してください」とのことだった。

隣の同僚が「これじゃあ、もう何も言えないよね。職場ではしゃべらない方が無難だわ」とボヤいていたが、まさにその通りで、軽はずみな言動はリスクそのものである。

「そのネクタイ、格好いいですね」もアウト

そして難しいのは、パワハラやセクハラが、受け手が不快に感じることで問題として成立する点だ

つまり受け手が不快に感じなければ、それはパワハラやセクハラではないとも言える。
ここで危険なのは、上司が「オレとあいつ(部下)の中なら、何を言っても大丈夫」と読み間違えることだ。
講師によると、自分が空気を読めると勘違いして問題となるケースが多いという。

たとえば女性社員から「そのネクタイ、格好いいですね」と褒められたら普通は嬉しいものだろう。しかしそれを不快に感じた男性社員がいたら、これはセクハラ行為にあたる。

ネクタイを褒められたことで、これをセクハラだと訴える男性社員はほとんどいないと思うが、いないとは限らない。まさに空気を読む能力が試される。

私は子どもの頃に「周囲の女性が髪を切ったら、褒めてあげなきゃだめだよ」と両親にアドバイスを受けたことがあったが、この助言は危険だ。現代ではセクハラに該当する可能性がある。

もし隣の席の女性社員が週明けに髪を短くしてきても、そこはスルーしてその週の仕事の進め方を相談するにとどめた方がよい。

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もう何が正解なのかわからない

研修では最後に、講師から以下の質問を受けた。

【講師】
後輩のAさんに対して仕事上の大事な話をしていたら、あくびをされた。あなたはどう思いますか? 下記から選んでください。

A.失礼な人だな
B.私の話しがつまらないのかな
C.睡眠不足なのかもしれないな

 

私は思うままに「A.」を選択したのだが、講師によると「A.」を選択した人は、自分の思考が怒りに支配されている状態なので、パワハラ問題を起こす可能性がある。意識を変えるべきだという。

また「B.」を選択した人も心理状態として不安感が強く、活き活きとした職場を形成するには自分の思考を変えていく必要があるらしい。

「C.」を選んだ人は、社内でも少数だったが、これが研修としての「正解」だった
皆が「C.」のように相手に配慮できれば、良い職場になっていくという論理なのだ。

しかし、先輩が仕事上の重要な話をしている時にあくびをするという行為は許されることなのだろうか。それを「睡眠不足なのかもしれない」として許すような企業が、激しい競争が繰り広げられるビジネスの世界で生き残っていけるのか疑問を感じたのも事実だ。

職場全体が居心地の良い雰囲気になることは歓迎だが、社会人として個人の成長を促す意味でも、ある程度の厳しさも必要なのではないか。正直私には何が正解なのかわからなかった。

私の会社では毎年パワハラ、セクハラ研修が催されるが、近年その内容がどんどんエスカレートしており、上記のように驚かされることが多い。そして世間の意識の高まりと自分にズレが生じているのかと不安にもなる。

この研修については内容が一部重複するが、下記エントリーでも触れているので参考までにどうぞ。

www.kotsulog.com