週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

ヒラ社員でも年収2000万円 斜陽産業なのに超ホワイトな出版業界

どの業界にも企業間にはヒエラルキーが存在する。どの角度で見るかによって性格は変わるが、ピラミッド型の序列のように企業の格の差というものが存在する。

出版業界は1997年から20年近く業界全体の売上が減少を続けた斜陽産業であるが、それでもテレビや新聞と並びマスコミの一角であることから依然就職市場での人気は高い。

売上が下がっているのにもかかわらず大手はいまだ高給を維持しているのも学生には魅力に映るのかもしれない。

f:id:hokuryuno:20170609184035j:plain

そこで出版業界の給料や職場環境が本当のところどのようなものなのか、この業界を3社・15年にわたって歩んできた私が紹介しよう。

2ちゃんねるの出版社スレは正しいか

2ちゃんねるの出版社スレには、給料や福利厚生の充実度で判断した就職偏差値のようなものが独特なランキング形式で掲載されている。私の方で図表化してみた。一部改編しているが、ほとんどそのまま転載している。

f:id:hokuryuno:20170609154053j:plain

まずこのランキングの信憑性についてだが、2ちゃんねるの長いスレッドのなかでツッコミを受けながら、複数人の手により、修正されてきた経緯もあり、私自身が持つ経験や情報とも8割がた合致する。

表中のランクは今回わかりやすく伝えるために私が記載したものだが、Sランクの福音館書店や医学書院という出版社は絵本や医学の専門出版社なので世間的にはあまり知られていないが、出版業界の中では高給かつ定時で帰れるという超ホワイト企業として転職希望者が殺到する有名企業だ。

半年に一度のボーナスも半端ではない。35歳平均で優に200万円を超えてくる。夏・冬どちらも同水準で支払わるため、年間ではボーナスだけでも400万円オーバーだ

しかも福利厚生もすさまじく、医学系は社会保険料は全部会社持ち(通常5:5)なので、その分、手取り年収も高くなる。

平社員でも年収2000万円

しかも労働組合に強く守られているため、ヒラ社員であればボーナスに能力を対象した査定などなく、単純に年齢だけを基準に支払われるという天国のような待遇だ。年収も35歳平均であれば1000万円を超えてくるのは言うまでもない

ただし私が知るかぎり、Aランクの大手3社も給料という面ではSランクと勝るとも劣らない。いや残業が多い分だけSランクよりも大手3社の方が年収は高くなるだろう。講談社は平社員でも定年前には年収2000万円に達する。管理職であれば言うまでもなく、それ以上の高給が約束される。

ただし週刊誌やマンガなどの編集部は長時間の残業とセットなので、そういう意味で2ちゃんねるの評価ではSランクに届かないのだろう。それでも大手3社の経理部や総務部に配属されればこうした残業とも無縁でありながら、給料水準は編集部の社員と同じなので、まさにまったり高給と言える。

せっかく出版社に就職しながら書籍編集に携わらないのはある意味もったいないことだが、充実したオフの時間を送れることだろう。

就職活動も転職活動も競争率は100倍から

ただし繰り返すが、このランキングはホワイト企業の基準を元にした序列だ。これを世間的なステイタスやブランドといった面を考慮すると多少並べ替えが生じるだろう。

そしていくら年収が500万~600万円もらえたとしても自費出版やパチンコ系、アダルト系の出版社はイメージが悪く、避けて就職活動する若者も多い。

またSランクに位置する医療系や児童書系の大手は高給で残業などの労働条件も良いが、やや地味なイメージがまとわりつくのは否めない。働いている本人たちも「マスコミ業界にいる」という意識はあまりなく、むしろ医療業界や教育業界に属している感覚に近い。

そういう意味で就職活動中の学生ファッション系や文学書系の出版社と比べると見劣りするかもしれない。ただし経営が安定しているのはファッション系よりも医学系出版社なので、イメージよりも待遇を重視する傾向のある中途採用の応募ではこれらの出版社に人気が集中する。就職活動も転職活動も競争率は100倍からという世界だ。

業界低辺の編プロは出版社でさえない

私が最初に勤めたのは編集プロダクション(以下、編プロ)で、まさに業界の底辺に位置していた。表でいえば一番下の「ランクなし」に位置する血の池地獄だ

編プロにも社員が何十人もいるような大手もあるにはあるが、その多くが社員数名の零細編プロだ。私が勤めていたのも社員5人の特にこれといった強みのある分野を持たない会社だった。

編プロは出版社登録しておらず、出版業界にいながら出版社でもない。出版社の仕事を丸ごとアウトソーシングされ、出版社の編集者にあからさまにこき使われてしまう。同じような業務の内容ながら編プロと出版社の待遇は雲泥の差だ。

もちろん出版社の編集者には優しい人もいるが、構造的に編プロは仕事の下請けになるので立場が弱く、原稿の内容が悪かったり、期限が守れなかったりすると怒鳴られたり、こちらの上司をCCに入れたメールで、ネチネチと人格を否定されるような指摘を受けたりする。

月20万円に満たない安月給でこの仕打ち。しかしこれはただただ耐えるしかない。「いつか見返してやる」と歯を食いしばって頑張るしかない。

編プロから出版社への転職は大きな壁がある

ただし編プロから出版社へヒエラルキーの壁を乗り越えるのは並大抵ではない。私も1年かけて転職活動を行い、複数社受けたものの何社に落とされたことか。何か見えない壁に絶望を感じる日々だった。それでも最終的に業界中堅の1社に拾ってもらったが年齢の若さと運の良さがあったと思う。

その数年後、中堅出版社から今度はさらに業界大手へ転職を果たした。自分で言うのもなんだが、まさに表の「ランクなし」から上位まで一気に駆け抜けた感がある。しかしそれも編プロ時代に感じた強烈な劣等感と不平等感がその後の転職活動へのパワーになったのは間違いない。

そのような底辺からどのように転職を果たしたかについてはまた別の機会に書きたいと思う。