週末5分間 英語クラブ byコツログ

世界のサッカーニュースを英語で学ぶブログです。毎週末更新します。たった5分間ですが内容の濃い英語学習にしましょう。

「年収2000万vs500万」の煽り記事はそろそろやめた方がいい

こんな記事がビジネス誌「プレジデント」のWeb版であがっていますね。

年収2000万vs500万学習法比較
http://president.jp/articles/-/22116

こういう記事ってタイトルの煽りが先行して、読み手としてはあまり参考にならないケースが多いです。記事を書く前の企画の段階から「年収500万円の人を焦らせて、興味を引こう」というプレジデント編集部の思惑が透けて見えてしまうのです。

繰り返される「紙媒体vsネット」の構図

年収2000万と年収500万の人で学習法がどのように違うのか、たとえば記事でこのように説明されています。

「仕事に役立てる情報源」について、2000万円以上は500万円台と比べて、「新聞」「雑誌」「書籍」などの紙媒体を活用し、「友人・知人」「旅などの体験」から情報を得ている人が多かった。一方、500万円台の人は、「ネット・SNS」「テレビ」を情報源とする人が多い。

これは年収の差もあるかもしれませんが、年齢の差というのがそれ以上に大きい気がします。年収2000万円の若い人ってそうはいないでしょう。業績の良い中小企業の社長や個人事業主、もしくは大企業の部長クラス以上になると年収2000万円を超えてきますが、その中心世代は40~60代でしょう。

学生時代からインターネットやパソコンのある生活環境で育ってきたいわゆる「デジタルネイティブ」の若者であれば、「仕事に役立てる情報源」も当然「ネット・SNS」が中心になるでしょうし、これだけ情報が集まっている現代のネット環境が仕事に役立たないはずがない。

f:id:hokuryuno:20170605163502j:plain

一方で40~50代以上であれば、「新聞」「雑誌」「書籍」などに親しんできた世代なので、年収が2000万円に達してもこれら紙媒体中心で情報収集しているはずです。

旅行に行くと年収も上がる?

また旅行に行く頻度も年収2000万と年収500万で開きがあると言います。

旅行に行く頻度にも開きがある。2000万円以上は「年に2回以上旅行に行く」という回答が78.2%、500万円台では52.2%。

まず旅行自体、お金がかかる余暇の過ごし方です。年収に余裕がなければ年に何度も、新幹線や飛行機の移動交通費、旅館・ホテルの宿泊費は払えないです。

記事ではこの旅行の件も含めて、以下のようにまとめています。

稼ぐ人は「社交的で人から情報を得る」、稼げない人は「引きこもりがちで、社交性が乏しい」という人物像が浮かび上がってきた。

これも少し安易な気がします。稼ぐ人が「社交的で人から情報を得る」というのは間違っていないでしょう。それでも本当に稼いでる人って旅行なんか行かないで、仕事してますよ。年収1000~2000万円ぐらいで自分の限界が見えてきて「そろそろオレ、あがりだな」っていう人は、人生を充実させるために余暇に時間を使うようになりますが。

というわけで、年収2000万の人が旅行に行くのは、行動力があるという証明ではなく、年収が高いという証明だと思います。

書籍もWebサイトもタイトルは執筆者ではなく出版社が決めている

プレジデント社もビジネスでWebサイトを運営しているので、多くの人に興味をもってもらうこと自体は、何も悪いことではないです。ただそれがあまりにも行き過ぎると読者のストレスに発展するので注意が必要ですね。

私も出版業界が長いので、事情は理解できます。こういうタイトルで煽った方がユーザーの反応が良いですからね。

書籍も同じですね。いつか書評したいと思いますが、最近読んだ『税務署が咎めない「究極の節税」』 (経営者新書) もどんな内容かと思って期待して読んだら、至極まっとうな節税方法が記載されていた。そういう意味で究極ではなく、常識的な内容です。それはそれでまっとうな節税本として価値がありますが、読者としての事前の期待とは裏切られた感じがしました。
後書きの「おわりに」で著者がそのようなタイトルを出版社から提案されたと書かれていて、「ああ、なるほどな」と。

タイトルで煽るのは最終的に誰も得をしない

私も編集者側として経験がありますが、書籍やWebサイトのタイトルは多くの場合、出版社の編集者に決定権があります。むしろそこが「自分の腕の見せどころだ!」なんて気負ってしまうばかりに派手なタイトルになってしまいます。

これは短期的には効果がありますが、長期的には読者の期待に応えていない、がっかりさせる体験が続くので、徐々に読まれなくない→読まれなくなるともっとタイトルで煽るしかないという悪循環にハマる危険性があります。これは他人事ではなく、このブログも気をつけたいと思います。